見た夢の日記。

自由きまま。日常から非日常まで幅広く渡り歩く。

おそうじ

手間が増えた。

 

正直、依頼にない魔物を殺したところで

報酬はない。

 

それに。

 

「人型なだけじゃない、あれは

見た目に変異が見られなかった。」

 

しかし、首を刎ねると黒い霧。

 

「…私はもう許してもらう気はない。」

 

彼らは間違いなく人間だった。

 

いや、人間でなくとも生き物なのだ。

 

それを「殺す」ことを生業とした時点で。

 

赦しなどもらえるものではない。

 

そのまま依頼にあった「親子」の

首を依頼主へ突き出す。

 

依頼主はぎょっとしていた。

なんせ、それは「人間」の

「生首」だったのだ。

 

「私は魔物を殺すように言ったが、

人間を殺すようには言ってない!」

 

そんなことを喚いていた。

 

それはそうだろう。

 

なにせ魔物が死ぬと、

崩壊を引き起こしていた魔素は消え、

 

崩壊する前の姿へ浄化されるからだ。

 

まぁ、そんなのを見せられたら

恐怖や狂気に見舞われるだろう。

 

「約束は果たした。報酬を寄越せ。」

 

契約は契約である。

 

「『何を』見てもお前は、全てを黙秘し、

契約のとおり報酬を支払う。書類にもしたためたが。」

 

「う、うるさいっ!警察に突き出してやるっ!」

 

そうなるだろう。

 

私も、同じ状況ならそうする。

 

常識的に考えれば、当然の行為だった。

 

しかし。

 

「契約に違反する者には等き死を。」

 

私達「そうじや」が所属する組織は

契約違反を許しはしない。

 

(まったく、どちらが化け物なのか。)

 

とは思ったものの、容赦なく

愛銃で依頼主の頭を「消し飛ばした」。

 

「さて、今回の案件を報告しなきゃな」

 

信用に足りない契約者は等しく

死で債務を払ってもらう。

 

そして、なにより「そうじや」が

所属する組織は国家組織なのだ。

 

もし契約違反が起きても

国が保証してくれるし、相手を

殺しても問題ないのだ。

 

無論、違反者に限るが。

 

と、ふとしたところに

置いてあった写真立てを見やった。

 

「おやおや…仲良くお幸せに。」

 

写真立てにあったのは。

 

私が殺した「魔物」と

「違反者」が笑顔で写っていた。

 

「きっと幸せだろうな、あの世で

巡り会えたんだろうから。」

 

そして私は組織へと足を運んだ。