おそうじ
一通りの報告を終えて帰宅する。
時間的には昼だろうか。
「おかえりー」
プラチナの髪が揺らぐ。
「ただいま。」
ユリアは私が血塗れになっているのを
さして気にもとめず抱きついてきた。
私も抱き返す。
ユリアの、ユリアだけの温もりを
自然と強く感じた。
「今日も『殺した』のね…?」
「…ああ、殺した。」
「濃い魔素が混じった血ね…あなたが
力を取り戻すにはまだ足りないけど…」
「ああ、そうだね…」
「さーて、今日のご飯は何にする?
思ったより早く帰ってきたからまだ
何も用意してないの♡」
「あー、じゃあーーー」
「あ、やっぱりいい。
とりあえず
ポテトサラダとオムライスにでもしよっか」
そうだね、と簡潔に答えておく。
私にはたいして食の楽しみがない。
でも、楽しそうに料理をする
ユリアを見るのは不思議と好きだった。
「あれほど残虐なことをして、
平穏に暮らせるっていうのも
なかなか酷い世の中だな」
「そうね、でもそれは今だけよ」
それもそうか、と思慮に耽る。